CITY POPの源流~加藤和彦Works

1947年3月21日、京都市出身。2009年10月16日、62歳で死去。
1968年10月にザ・フォーク・クルセダーズを解散。1969年にシングル『僕のおもちゃ箱』を発表し、ソロ活動と同時に作曲家としての楽曲提供もスタート。その後、長年にわたって他のアーティストのプロデュース、アレンジ、楽曲提供の活動が続いた。1972年にリリースされたよしだたくろうのシングル「結婚しようよ」では、アレンジ譜面を使わずミュージシャンをスタジオに集めてバンドでサウンドを創り上げていく当時では斬新なアレンジ手法だった。90年代以降は、スーパー歌舞伎や映画音楽、ゲーム音楽を数多く手がけ、正に「音楽家」という言葉がぴったりな人物だ。

サンフランシスコ/かまやつひろし

作詞:山上路夫/作曲:加藤和彦/編曲:Greg Adams

1975年4月リリース、かまやつひろしの5thアルバム『あゝ、我が良き友よ』から。オリコンで1位を獲得したシングル曲「我が良き友よ」を含む名盤。加藤和彦、吉田拓郎、大瀧詠一、山下達郎、吉田美奈子、細野晴臣、更にオークランドのファンクバンド・Tower of Powerなど豪華ミュージシャンが集結して制作された。この曲のアレンジは、Tower of PowerのトランペットGreg Adams。また、シングル「我が良き友よ」のB面でアルバムにも収録されている「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」もTower of Powerとのセッションで生まれた名曲だ。
 

LA ROSA/高橋ユキヒロ

作詞:高橋ユキヒロ/作曲:加藤和彦/編曲:坂本龍一

1978年6月リリース、高橋ユキヒロの1stソロアルバム『Saravah!(サラヴァ!)』から。1975年11月にサディスティック・ミカ・バンドは解散、1976年春に結成したサディスティックスの活動と並行して制作されたソロ・アルバムで、パリをモチーフとしてヨーロピアン、ラテンなど無国籍でモダンなポップスが詰まった作品。レコーディングには加藤和彦、高中正義、細野晴臣、山下達郎、吉田美奈子らが参加、坂本龍一が全曲のアレンジを施している。1970年代のCITY POPを代表する一枚で、2018年10月には、当時のマルチ・トラックを使用し全曲ヴォーカルを新たにレコーディングした『Saravah Saravah!』が発売された。
 

戻っておいで・私の時間/竹内まりや

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:瀬尾一三

1978年11月リリース、竹内まりやのデビュー・シングル。同時リリースされた1stアルバム『BEGINNING』にも収録。アルバムのうち4曲はロサンジェルスでレコーディングされ、Lee Ritenour、Jim Keltner、Tom Scottら錚々たるミュージシャンが参加している。東京でレコーディングされたこの曲は、後に服部克久のアレンジによるオーケストラVer.が再レコーディングされ、1982年6月リリースのベストアルバム『VIVA MARIYA!!』と2018年11月リリースの40周年記念リマスタリング盤『BEGINNING』のボーナストラックに収録されている。
 

ドリーム・オブ・ユー~レモンライムの青い風~/竹内まりや

作詞:竜真知子/作曲:加藤和彦/編曲:山下達郎

1979年5月リリース、2ndアルバム『UNIVERSITY STREET』から。大学卒業記念となるはずだったアルバムで、自作曲に加えて、加藤和彦、山下達郎、告井延隆、大貫妙子、杉真理らが楽曲提供、アイドルっぽさからの脱却が感じられる。イントロをはじめこの曲の絶妙なコーラスは、山下達郎と吉田美奈子。1979年2月にリリースされたシングルVer.は瀬尾一三によるアレンジで「キリンレモン」のCMソングに起用された。
 

不思議なピーチパイ/竹内まりや

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:加藤和彦、清水信之

1980年2月リリース、4thシングル。資生堂’80春キャンペーンソングに起用され、初のオリコンTOP10入りを果たし最高3位を記録。彼女にとって初めての大ヒット・ソングとなった。1980年3月にリリースされた3rdアルバム『LOVE SONGS』にも収録されている。
 

キッシング・フィッシュ/佐藤奈々子(nanaco)

作詞:佐藤奈々子/作曲:加藤和彦/編曲:井上鑑

1979年7月リリース、佐藤奈々子の4thアルバム『Kissing Fish』から。1977年6月、佐野元春との共作アルバム『Funny Walkin’』でデビューした佐藤奈々子。海外からも評価の高い彼女の1979年の作品。夕暮れの海辺にたたずむアンニュイなジャケットとオリエンタルでモダンな空気が漂うサウンド。井上鑑が全編アレンジ、作曲には加藤和彦をはじめ、南佳孝、矢野顕子、鈴木慶一、井上鑑、佐野元春が参加している。A-1「チャイナ・ドール」も加藤の作曲。
 

一枚のフォトグラフ/Rajie(ラジ)

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:坂本龍一

1979年10月リリース、ラジの3rdアルバム『Quatre(キャトル)』から。ムーンライダーズがバックアップしたグループ「ポニーテール」を経て、1977年のソロデビューしたRajie。サディスティックス、大滝詠一、杉山清貴&オメガトライブなどのコーラス参加でも知られている。このアルバムは、高橋幸宏がプロデュース、坂本龍一がサウンドプロデュースを手がけている。
 

Silver Rain/宮本典子

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:加藤和彦、清水信之

1981年リリース、宮本典子の4thアルバム『NEW ROMANCE』から。加藤和彦プロデュース、レコーディングはミュンヘン。mimiの愛称で知られる和製R&B DIVA・宮本典子のヨーロピアン、ディスコ、ブギーといったサウンドが展開される異色作。「Silver Rain」は、テクノを取り入れた「After You’ve Gone」とのカップリングでシングル・カットされた。また、2012年11月リリースの一十三十一のアルバム「YOUR TIME Route1」でカヴァーされている。
 

夢がとぶ/ブレッド&バター

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:武部聡志

1985年9月リリース、ブレッド&バターのシングル曲。安井かずみのソフトタッチな歌詞がのったAORグルーブ。後にベストアルバムには何度も収録されているが、オリジナル・アルバムには未収録の名曲。加藤和彦は2007年に「ONE AFTERNOON IN THE BAR」も楽曲提供している。
 

愛のスーパーマジック/稲垣潤一

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:TOPICS

1986年3月リリース、稲垣潤一の6thアルバム『REALISTIC』から。初のセルフ・プロデュースで自身のツアーバンドTOPICSとレコーディング、バンド・サウンドを追求した作品。本作でシングル、アルバムを通じて初のオリコン1位を獲得した。ミディアム・テンポでスウィーティな世界感の「愛のスーパーマジック」の他にも、安井・加藤コンビによる「ビコーズ・オブ・ユー」や作詞・松本隆、作曲・大瀧詠一のナイアガラ・サウンド「バチェラー・ガール」など佳曲揃いのアルバム。
 

Just A Love Song/村田和人

作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦

1987年9月リリース、映画「ハワイアン・ドリーム」サウンドトラックから。1987年に公開された川島透監督の映画「ハワイアン・ドリーム」のエンディング曲。この映画の音楽を加藤和彦と朝妻一郎が担当した。同月に村田和人の9thシングルとしてもリリースされたが、加藤和彦の楽曲ということで、村田和人のオリジナル・アルバムには収録されていないレア曲となった。
 

 

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