CITY POPの源流~シュガーベイブCovers

山下達郎、大貫妙子、伊藤銀次、上原裕らが所属していたシュガーベイブは、1975年4月に唯一のアルバム『SONGS』をリリースしたものの1976年4月に解散。ハーモニーを重視しコード・プログレッションを多用するサウンドは、当時の音楽シーンでは正当に評価してもらえなかったようだ。今やCITY POPのバイブルとも言うべきシュガーベイブの作品は、このPLAYLIST以外にも音源としてリリースされているものからライブ等で披露されたものまで沢山のカヴァー・ヴァージョンが存在する。近年では、Yogee New Wavesが2018年のツアーで「DOWN TOWN」を披露したり、aikoは2001年にTV番組で「今日はなんだか」を歌うなど支持され続けている。

DOWN TOWN/EPO

作詞:伊藤銀次/作曲:山下達郎/編曲:林哲司、清水信之

1980年3月リリース、EPOのデビュー・シングル。同時にリリースされた1stアルバム『DOWN TOWN』にも収録。バラエティ番組「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマに起用され、シュガーベイブの名曲を文字通りお茶の間に広めた。オリジナルより更にポップでカラフルな仕上がりになっている。
  

DOWN TOWN/桑名晴子

作詞:伊藤銀次、英詞:Linda Hennrick/作曲:山下達郎/編曲:芳野藤丸

1982年11月リリース、桑名晴子の4thアルバム『MOONLIGHT ISLAND』から。
兄・桑名正博の影響で音楽に目覚め、数々の一流ミュージシャンたちとのセッションを経験。1978年にアルバム『MILLION STARS』でソロ・デビューを果たした桑名晴子。このアルバムは70年代の名曲を集めたカヴァー集だが、この曲はLinda Hennrickの手による英詞で歌われ彼女のソウルフルで情感あるれるヴォーカルが際立っている。後に伝説のバンドAB’Sを結成する芳野藤丸、松下誠らがレコーディング・サポートしている。

DOWN TOWN/坂本真綾

作詞:伊藤銀次/作曲:山下達郎/編曲:服部隆之

2010年10月リリース、坂本真綾の18thシングル。2011年1月にリリースされた7thオリジナルアルバム『You can’t catch me』にも収録。
声優はもとよりレ・ミゼラブルなど舞台女優としても活躍する坂本真綾。服部隆之によるアレンジはホーンセクションを大胆にフィーチャーしたスカ。斬新なアレンジだが、彼女の透明感あるヴォーカルが素晴らしく、時空を越えて名曲は輝いている。山下達郎のバンドメンバーである難波弘之と三谷泰弘らがレコーディングに参加している。

DOWN TOWN/TAHITI 80

作詞:伊藤銀次/作曲:山下達郎

2019年9月リリース、TAHITI 80のアコースティック・リアレンジ・ベスト・アルバム『Fear Of An Acoustic Planet』から。
フランスのポップ・ロック・バンドTAHITI 80。結成20周年に合わせて自身の人気曲をアコースティック・ヴァージョンにリアレンジしたアニヴァーサリー・アルバムの日本盤ボーナストラックに「DOWN TOWN」の日本語カヴァーが収録されている。来日した際にロック・バーでこの曲と出会ったとVo.Gt.のグザヴィエ・ボワイエは語っている。

蜃気楼の街/Reggae Disco Rockers

作詞:大貫妙子/作曲:大貫妙子

2005年3月リリース、ミニアルバム『蜃気楼の街』から。同年7月リリースの4thアルバム『Morning Glory』にはアルバムVer.が収録されている。
DJ、トラックメイカーの高宮紀徹が率いる4人組レゲエ・バンドReggae Disco Rockers。ヴォーカルの有坂美香は、Jazztronikのメインヴォーカルも務め、更にソロや他アーティストのフィーチャリング・ヴォーカルとしても活動する実力派。都市の情景を歌った「蜃気楼の街」が、ロックステディ・アレンジでカリブのリゾートを思わせる仕上がりになっている。

蜃気楼の街/区麗情

作詞:大貫妙子/作曲:大貫妙子/編曲:Robbie Buchanan

1994年11月リリース、区麗情の3rdアルバム『晴れた日、雨の夜』から。
幼少の頃より父親のレコード・コレクションに触れ、50’s~60’sアメリカン・ポップスのファンだった彼女。上智大学在学中の1993年にCDデビュー。ライブやレコーディングに加え、幾つものFMラジオでパーソナリティを務めるなど幅広く活躍。1996年9月には同じ事務所だった浜田省吾とのデュエット曲「Love Letter」をリリース、ラジオでヘビーローテーションされ話題になった。

いつも通り/松本英子

作詞:大貫妙子/作曲:大貫妙子/編曲:武部聡志

2003年2月リリース、松本英子の4thアルバム『君の音』から。
名だたるアーティストをプロデュースしてきた武部聡志をプロデューサーに迎え制作されたアルバム。シュガーベイブ、オフコース、竹内まりや、喜納昌吉、槇原敬之といったアーティストのカヴァー曲を中心にオリジナル2曲が収録されている。A.Gt.など生楽器を軸に音数の少ない緻密なアレンジで彼女の透明感あふれるヴォーカルを際立たせている。

雨は手のひらにいっぱい/benzo

作詞:山下達郎/作曲:山下達郎/編曲:高野勲

2000年5月リリース、benzoの5thマキシ・シングル『FLOWER』に収録。
1992年に北海道帯広市で結成されたbanzo。上京後、メンバーチェンジをしながらライブ活動を続け、そのパフォーマンスが評判になり1998年3月にデビュー。ポップでソウルフルな彼らの楽曲は高く評価され、各FM局でヘビーローテーションされた。6枚のシングルと2枚のオリジナル・アルバム、1枚のベスト・アルバムを残して2001年に活動休止したが、その後CITY POPや喫茶ロックの名盤として再評価され、2枚のアルバムは2013年にボーナストラックが追加されたリマスター盤として復刻された。Vo.Gt.の平泉光司はCOUCHでも活動中。

雨は手のひらにいっぱい/HONEY & B-BOYS

作詞:山下達郎/作曲:山下達郎/編曲:村松邦男

1987年3月リリース、HONEY & B-BOYS唯一のアルバム『BACK TO FRISCO』から。
HONEY & B-BOYSは、山下達郎が気に入り推していた村田和人とPIPERの山本圭右が中心になり、平松愛理(絵里)と西司を加えた4人組ユニット。平松愛理はこの2年後にソロ・デビューを果たし5年後には「部屋とYシャツと私」をヒットさせた。このアルバムのレコーディングにはPIPER、センチメンタル・シティ・ロマンスらが参加、レイドバックしたウエストコースト・サウンドと4人それぞれの個性的なヴォーカルが聞きどころ。アルバムの最後を飾る「雨はてのひらにいっぱい」は西司がヴォーカルを取っている。長年廃盤だったが、2019年にボーナストラックが追加されたリマスター盤として復刻された。

パレード/つじあやの

作詞:山下達郎/作曲:山下達郎/編曲:根岸孝旨、山本拓夫

2003年12月リリース、つじあやのの10thシングル。2004年5月にリリースされたカヴァーアルバム『COVER GIRL』にも収録。
ウクレレ弾き語りシンガーソングライターのつじあやの。優しい癒し系の歌声が、オリジナルとはまた違った感覚を呼び起こしてくれる秀逸なカヴァー。2003年冬、長谷川京子が出演するCanon「PIXUS」CMのイメージソングに起用され話題となった。

こぬか雨/高崎昌子

作詞:伊藤銀次、山下達郎/作曲:伊藤銀次

1978年3月リリース、新宿ロフトに出演していた女性ヴォーカリストをフィーチャーしたセッションのコンピレーション・アルバム『Loft Sessions Vol.1』から。
シュガーベイブのライブでのレパートリーだった「こぬか雨」を高崎昌子がカヴァー。2014年12月にはアナログ盤7inchシングルでも限定発売された。清水信之、川辺ハルトらと結成した7人組グループ「紀の国屋バンド」ではフロントをつとめ、1979年に唯一のアルバム『STREET SENSATION』を残しており、こちらでも彼女のソウルフルなヴォーカルを聞くことが出来る。

こぬか雨/清水信之

作詞:伊藤銀次、山下達郎/作曲:伊藤銀次/編曲:清水信之

1980年1月リリース、清水信之の1stソロ・アルバム『CORNER TOP』から。
17歳で紀の国屋バンドに加入、その後1980年EPOのデビュー・シングル「DOWN TOWN」(林哲司と共同)をはじめ多くのヒット曲を生み出してきた天才アレンジャーにしてマルチ・プレーヤーの清水信之。この曲のCho.はEPOと竹内まりや、Ba.田中章弘、Dr.上原裕、Gt.山岸潤史、中野督夫と錚々たるミュージシャンが参加している。
ちなみに、1977年5月にリリースされた伊藤銀次の1stソロ・アルバム『DEADLY DRIVE』では、伊藤により大幅に歌詞が書き直されて収録されいる。また、2011年12月にリリースされたTerry&Franciscoのアルバム『Happy Holidays!~CITY POPS COVERS~』では、その伊藤の歌詞でカヴァーしている。

 

コメント