CITY POPの源流~鈴木茂Works

1951年12月20日、東京都世田谷区出身。
1968年、林立夫、小原礼とSKYEを結成。細野晴臣の誘いで69年はっぴいえんどの前身バンド、ヴァレンタイン・ブルーに参加。テクニックに裏打ちされた大胆なギター・プレイで注目を集める。はっぴいえんど解散後、細野らとキャラメル・ママを結成、ティン・パン・アレーへと発展。並行してソロ活動もスタートさせ、75年に単身アメリカに渡り現地ミュージシャンを起用しレコーディングした初めてのソロ・アルバム『BAND WAGON』を発表、高い評価を得る。その後、コンポーザー、アレンジャーやセッション・ギタリストとして、ロック、ポップス、歌謡曲、JAZZフュージョンまで幅広いジャンルで活躍している。

ソバカスのある少女/南佳孝

作詞:松本隆/作曲:鈴木茂/編曲:村上“ポンタ”秀一

2004年7月リリース、アルバム『ROMANTICO』から。
1975年11月にリリースされたティン・パン・アレーのアルバム『キャラメル・ママ』に収録されている「ソバカスのある少女」で南佳孝はゲスト・ヴォーカルを務めたが、そのカヴァーを3rdシングルとして1977年4月にリリースした。
アルバム『ROMANTICO』のボーナストラックに収録されているのは、村上“ポンタ”秀一デビュー30周年アルバム『MY PLEASURE』で角松敏生とデュオで歌った村上アレンジの南佳孝ソロ・ヴォーカル・ヴァージョンだ。更に、2006年6月の南佳孝 with Rio Novo 名義『Bossa Alegre』では、よりボサノヴァ寄りのリアレンジを聞くことが出来る。
 

てぃーんず ぶるーす/原田真二

作詞:松本隆/作曲:原田真二/編曲:鈴木茂、瀬尾一三

1977年10月リリース、原田真二のデビュー・シングル。フォーライフオーディションに合格し、吉田拓郎プロデュースでデビュー。ポップで洋楽的サウンドのシンガーソングライターだったが、甘いマスクと歌声、そして積極的なテレビ出演により当時はアイドル的人気となった。この曲には原田自身が書いた原詞があったがデビューにあたり松本隆が起用された。18歳の気持ちを「ジェームス・ディーン」で代弁させるところがいかにも松本らしい。レコーディング・メンバーは、Dr.林立夫、Ba.後藤次利、Gt.鈴木茂、Piano佐藤準という強力な布陣だ。
 

8分音符の詩/竹内まりや

作詞:松本隆/作曲:鈴木茂

1978年3月リリース、オムニバス・アルバム『Loft Sessions Vol.1』から。新宿ロフトに出演していた女性ヴォーカリストをフィーチャーしたセッションのコンピレーション。デビュー前の竹内まりやの歌声を聞くことが出来る貴重な音源だ。センチメンタル・シティ・ロマンスとのセッション「8分音符の詩」(オリジナルは鈴木茂の1976年の『LAGOON』に収録)と「ハリウッド・カフェ」(作詞:大貫妙子/作曲:竹内まりや)の2曲が収録されている他、高崎昌子「こぬか雨」(作詞:伊藤銀次/作曲:山下達郎、シュガーベイブのライブのレパートリーだった)や上村かをる「星くず」(久保田麻琴と夕焼け楽団の藤田洋麻が作詞・作曲)なども収録されている。
 

サード・レディー/桑名正博

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:鈴木茂、桑名正博&Tear Drops、戸塚修

1978年11月リリース、桑名正博の3rdシングル。79年1月にリリースされたライブ・アルバム『ロード・マシーン』では78年11月10日渋谷公会堂でのライブVer.が収録されている。桑名正博は1972年に「ファニー・カンパニー」のリードヴォーカルとしてデビューした。内田裕也プロデュースのロックンロール・カーニバルにキャロルらと共に出演するなど「東のキャロル、西のファニカン」とも呼ばれたが、2枚のアルバムを残して74年に解散。75年からソロ活動を始め、76年にアルバム『Who are you?』でソロ・デビュー。この曲は「哀愁トゥナイト」「セクシャルバイオレットNo.1」などと並んで「ロック歌謡」と評されることも多いが、当時のディスコではファンキーな和製ディスコ・ミュージックとして受け入れられヘビーローテーションされていた。
 

ON THE COAST/鈴木茂

作詞:SARITA ESCOBAR/作曲:浜口茂外也/編曲:鈴木茂

1979年2月リリース、鈴木茂の5thアルバム『WHITE HEAT』から。ジャズとロックを融合させたクロスオーバーにボサノヴァなどのラテン音楽を融合させ、ソフティケイトされたフュージョンが注目を集めていた時代にリリースされた鈴木茂の唯一インストゥルメンタル・アルバム。「ON THE COAST」のみがヴォーカル曲でSARITA ESCOBARと浜口茂外也が歌うAORナンバー。Dr.高橋幸宏、Ba.後藤次利、Key.矢野顕子らの演奏に加え浜口茂外也のFluteが白眉だ。
 

タバコロード 20/ブレッド&バター

作詞:呉田軽穂/作曲:岩沢幸矢/編曲:細野晴臣、鈴木茂

1979年6月リリース、4thアルバム『Late Late Summer』から。1969年にデビューしたものの約4年間の活動休止を経てアルファレコードに移籍しての第一弾アルバム。活動休止の間に茅ケ崎にカフェをオープンさせ、湘南の海と向き合い音楽を育んできたブレバタ。プロデューサーの有賀恒夫と共に、「ブレバタ=湘南」というコンセプトを打ち出し再スタートを切った彼らは、その後、湘南サウンドの代表的な存在になっていった。
この曲は、呉田軽穂のすんなり入ってくる歌詞と岩沢幸矢のキャッチーなメロディが秀逸な上に、イントロを聞いただけで鈴木茂のアレンジとわかるナンバーでもある。
 

暗闇にさよなら/来生たかお

作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお/編曲:鈴木茂

1979年12月リリース、4thアルバム『Natural Menu』から。来生は2年後に「セーラー服と機関銃」でヒット・メーカーとして名を馳せるが、既にこの頃、伊東ゆかりやしばたはつみらに楽曲提供しておりソングライターとして地位を築いていた。
この曲は元々シャンソン歌手のかとうはつえに書き下ろされた楽曲で、1979年2月に同時リリースされたシングル「陽気な訪問者」のカップリングとアルバム『カスケード』に収録された。ちなみに、こちらの編曲は淡海悟郎と井上鑑の手による。
 

マーマレイドの朝/布施明

作詞:門谷憲二/作曲:鈴木茂/編曲:戸塚修

1979年12月リリース、アルバム『Lana』から。1965年にデビュー。1975年には、小椋佳が作詞・作曲した「シクラメンのかほり」がミリオンセラーの大ヒットとなり日本レコード大賞、日本歌謡大賞など多数の賞を獲得。NHK紅白歌合戦には通算25回出場を誇る日本を代表する歌手・布施明。彼がオリヴィア・ハッセーと結婚し渡米する直前に発表されたアルバム『Lana』にはAOR色が散りばめられている。「マーマレイドの朝」はコンサートでよく歌われファンにも人気の名曲。
 

Howa Howa Shuwa Shuwa -宇宙ネコの舌ざわり-/松原みき

作詞:島エリナ/作曲:鈴木茂/編曲:鈴木茂

1980年9月リリース、2ndアルバム『WHO ARE YOU?』から。1979年11月リリースのデビュー・シングル「真夜中のドア〜Stay With Me」がヒット。2ndアルバム『WHO ARE YOU?』は、杉真理、林哲司、松任谷正隆、鈴木茂ら多彩な作家陣と名スタジオミュージシャンを迎えて制作された。抜群の歌唱力と色彩豊かな仕上がりは、母親がジャズ・シンガーで幼少の頃からピアノを習うなど豊かな音楽環境で育った賜物かもしれない。残念ながら2004年10月、子宮頸癌のため44歳で死去された。
 

Because/五十嵐浩晃

作詞:ちあき哲也/作曲:五十嵐浩晃/編曲:鈴木茂

1982年4月リリース、五十嵐浩晃の7thシングル。1979年第1回CBSソニーSDオーディションに合格し、翌80年5月にシングル「愛は風まかせ」とアルバム『NORTHERN SCENE』でデビューした五十嵐。80年11月にリリースした3rdシングル「ペガサスの朝」が50万枚以上のヒットとなり、その名を世に知らしめた。88年に移籍するまでのソニー時代の大半の楽曲アレンジは鈴木茂が手掛けている。この曲が収録されている4thアルバム『WING』(82年5月リリース)は、AOR的サウンドが強調されROCKからCITY POPへと重心が移った作品と言える。
 

終らない夏/村田和人

作詞:安藤芳彦/作曲:村田和人/編曲:鈴木茂

1982年6月リリース、1stアルバム『また明日』から。アレンジャーに鈴木茂、山下達郎、井上鑑を迎え、作詞で竹内まりや、安藤芳彦、新井正春が参加。演奏は、松任谷正隆、青山純、難波弘之、中西康晴、浜口茂外也、浜田金吾、松下誠など豪華メンバー。他にも、デビュー・シングル「電話しても」(山下達郎編曲)、「想いは風に」(鈴木茂編曲)、「WHYSKY BOY」(竹内まりや作詞)など村田のメロディー・メーカーぶりと抜群の歌唱力の魅力溢れる名曲が詰まっている。
 

恋人達の水平線/裕木奈江

作詞:松本隆/作曲:鈴木茂/編曲:鈴木茂

1994年11月リリース、6thアルバム『水の精』から。
アルバムの全曲作詞とプロデュースを松本隆が手掛けた。作曲は、細野晴臣、筒美京平、鈴木茂、矢野顕子、楠瀬誠志郎、PSY・S松浦雅也という布陣。アイドル・ポップ・シンガーだった彼女にとっては異色にして良質な作品。Enyaにインスパイアされたと思われるサウンドが印象的なこの曲は、後年、本人のTwitterで“夏が終わり、感受性が研ぎ澄まされて感傷的になる季節。「恋人たちの水平線」が聴きたくなりました。”と呟くほどお気に入りのようだ。
 

 

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